「成瀬は天下を取りに行く」そして続編の「成瀬は信じた道を行く」。 この2冊に共通する魅力は、何と言っても“主人公・成瀬明里”をあえて本人の視点から描かず、周囲の人々の視点で物語が紡がれていくところにあります。 読後には世界が少しだけ多層的に、豊かに見えてくるような感覚がある。 本記事ではその理由を、物語の舞台や登場人物、構成のテクニックという観点からご紹介します。 舞台は滋賀県・膳所(ぜぜ)周辺 物語は、琵琶湖のほとり、滋賀県の膳所という町が中心舞台となります。 関西圏の方なら「ああ、あのあたりね」とピン ...