ダイニングチェアは、食事や作業など日常生活のさまざまなシーンで大活躍する家具。
せっかくなら、機能性だけでなく「座り心地の良さ」や「洗練されたデザイン」にもこだわって選びたいですよね。
そんな願いを叶えてくれるのが、北欧の巨匠やイタリアを代表する建築家、そして日本の優れたデザイナーたちが手がけた「名作チェア」たちです。
今回は、時代を超えて世界中で愛されるダイニングチェアを8点ご紹介します。
どれも長い歴史の中で磨かれてきた、美しさと快適さを兼ね備えた逸品ばかり。
ぜひお気に入りを探してみてください!
デザイナーズチェアとは?
デザイナーズチェアとは、建築家やプロのデザイナーがデザインした椅子のことを指します。
もともと家具は「○○様式」のように歴史的・地域的なスタイルを反映して作られていましたが、そこに革新的なアプローチをもたらしたのが、個々のデザイナーのアイデアやインスピレーション。
その結果、「実用性がある芸術作品」のような椅子が次々と誕生していったのです。
なかには、数十年前、あるいは100年以上前にデザインされながら、いまなお世界中で愛され続けているモデルも存在します。
そんな息の長い魅力があるのも、デザイナーズチェアならではと言えるでしょう。
デザイナーズチェアについて深く知りたい方は以下からご覧ください!
デザイナーズチェアの歴史
イギリスで18世紀末頃に起こった産業革命の後、「ウィリアム・モリス」が中心となって興した「アーツ・アンド・クラフト運動」は、その後の家具やインテリアのデザイン運動に大きな影響を与えました。
大量生産が加速する時代において、「手工業による品質の高い製品をつくろう」という理念を掲げたこの運動は、デザインの在り方に一石を投じたのです。
さらに19世紀中頃、オーストリアのミハエル・トーネットが曲木椅子を発表したことをきっかけに、従来の「様式」だけでなく、デザイナーそれぞれの個性や新しい技術・素材を積極的に取り入れた「デザイナーズチェア」が生み出されるようになりました。
椅子はその国の文化や思想、さらに工芸技術を強く反映する家具だからこそ、作り手であるデザイナーの志向が一脚に色濃く表れるのです。
デザイナーズチェアの魅力
たとえば、160年ほど前にデザインされた椅子が現代でも愛用されているように、デザイナーズチェアには「時代を超えて色あせない」美しさや、斬新さがあります。
デザイナーたちは、当時の新技術や素材を取り入れ、常に革新的な影響を与えてきました。
その時代背景やデザイナー自身のコンセプトが形となって残るため、数十年・数百年を経てなお、人々を惹きつける力を持っているのが大きな特徴です。
デザイナーズチェアの価格相場と購入方法
デザイナーズチェアは憧れだけど、実際どのくらいの価格で、どのように購入したらいいの?と思われる方も多いかもしれません。
大きく分けて、以下の3つの方法があります。
- 正規品
- 正規ライセンスを保持するメーカーが、オリジナルデザインに沿って製作した製品です。数万円から10万円以上する高額なものも多いですが、品質・アフターサービス・保証面で安心感が高いのが最大のメリット。長く使うことを考えると、コストパフォーマンスに優れている場合もあります。
- リプロダクト品(ジェネリック品)
- デザインの版権が切れた後、正規メーカー以外の企業が製造したもの。価格帯は数千円~数万円程度と、正規品より手頃で憧れのデザイナーズチェアを入手しやすい反面、品質には差があります。材質や仕上げが異なり、座り心地や耐久性が正規品とは違ってくるケースも。保証やアフターケアが期待できないこともあるので、購入前の下調べが重要です。
- ヴィンテージ
- デザイナーがデザインした当時に生産・販売されていたオリジナル品(中古)。傷や経年変化があるものの、その「味わい」を好むコレクターやインテリア上級者に人気です。デザイナーやモデルによっては数十万円を超えるレアなものもあり、買い付けやメンテナンスなど手間がかかる分、唯一無二の価値を感じられるのが魅力といえるでしょう。
価格相場は、「デザインされた時代」「製造メーカーの技術力」「素材・仕上げ」「希少性」などによって大きく左右されます。
職人が1脚ずつ手作業で仕上げるようなものはどうしても高額になりがちですが、その分、芸術作品に近いクオリティを楽しめます。
逆に比較的新しいデザインや、シンプルな量産体制でつくられるチェアであれば、正規品でも比較的手が届きやすい価格帯のものもあります。
ダイニングチェアで迷ったらこれ!
絶対買うべき名作デザインチェア8選
ここからは、時代を超えて世界中で愛され続ける名作ダイニングチェアを8脚ピックアップしてご紹介します。
どれも歴史のあるデザイナーズチェアばかりですので、椅子の背景にあるデザイン思想や時代のストーリーを感じながら、あなたにぴったりの1脚を探してみてください。
1. カール・ハンセン&サン「CH24(Yチェア)」
デンマークを代表するデザイナー、ハンス・J・ウェグナーの大ヒット作といえば、通称「Yチェア」。
背もたれのY字状の支柱がアイコニックであり、アームと背もたれを一体化させた独特のフォルムが特徴です。
ペーパーコードで丁寧に編まれた座面も、しなやかな弾力と温かみがあり、長時間座っていても疲れにくいのが魅力。
デザイン性と快適さを兼ね備えた、まさに“定番中の定番”です。
2. フリッツ・ハンセン「セブンチェア」
アルネ・ヤコブセンの代表作「アリンコチェア」を改良し、1955年に発表されたのが「セブンチェア」。
一体成型合板による滑らかなカーブが背をしっかりホールドしてくれ、快適な座り心地を実現しています。
スタッキングできる機能性に加え、色や素材バリエーションが非常に豊富。世界で最も売れているスタッキングチェアの1つという実績にも納得です。
3. Knoll「チェスカチェア ラタンチェア」
ハンガリー出身のデザイナー、マルセル・ブロイヤーが手がけた「チェスカチェア」は、片持ち構造(カンティレバー)のスチールパイプと、伝統的な職人技が光る籐(とう)の座面・背もたれの組み合わせが美しい一脚です。
発表から70年以上経った今でも、そのモダンなデザイン性と軽快な座り心地で高い人気を誇っています。
アームありタイプやファブリック張りもあるので、お好みに合わせて選べます。
4. ハーマンミラー「イームズ シェルチェア」
1948年にチャールズ&レイ・イームズが発表した、世界初のプラスチック製シェルチェア。
当時の成型技術を活かしたしなやかな弾力が特徴で、2022年からはより環境負荷の少ない100%ポストインダストリアル再生プラスチックを採用。
シェル部分や脚部など、色や素材の組み合わせが200万通り以上あるため、自分だけの一脚を見つける楽しみも魅力のひとつです。
5. フリッツ・ハンセン「アリンコチェア」
アルネ・ヤコブセンが1952年にノボノルディスク社の社員食堂のためにデザインしたのが「アリンコチェア」です。
背もたれの切り込み部分がアリを思わせるキュートなフォルムで、もともとは3本脚仕様として登場しました。
その後4本脚仕様も追加され、用途や好みによって選べるように。
積層合板を一体成型した先駆的なデザインは、いつの時代も新鮮さを失いません。
6. アルテック「ドムスチェア」
1946年にイルマリ・タピオヴァーラがヘルシンキの学生寮用にデザインしたのが「ドムスチェア」。
成型合板を曲げて作られた座面はしっかりと身体を支え、長時間座っていても疲れにくい構造。
フィンランドを象徴するチェアとして「フィンチェア」の愛称でも呼ばれています。
シンプルなフォルムの中に、人間工学的なやさしさが詰まった一脚です。
7. フレデリシア「J39 モーエンセンチェア」
デンマークの巨匠ボーエ・モーエンセンによる「J39 モーエンセンチェア」は、“適正価格で強度のあるチェア”というコンセプトでつくられました。
背板の柔らかな曲げ木と、ペーパーコードを編み込んだ座面の組み合わせが特徴的。
北欧では「The People’s Chair(みんなの椅子)」と呼ばれ、誕生以来ずっと生産が途切れることなく愛されています。
8. アーコール「1877 ウィンザーチェア」
イギリスの老舗家具メーカー、アーコール社が2020年に創業100周年を迎えた際にも注目された「1877 ウィンザーチェア」。
1本の木を湾曲させた背もたれや、等間隔に並ぶスポーク(背棒)、座面のくぼみなど、伝統的なウィンザースタイルの美しさを存分に生かしつつ、高い耐久性を誇ります。
飽きのこないデザインで、時を経るほどに味わいが増していくのが魅力です。
まとめ
今回は、北欧やイタリア、日本をはじめとする世界各地の巨匠たちによる名作ダイニングチェアを8脚ご紹介しました。
どのチェアも、長い歴史の中で培われた技術や斬新なアイデアが詰まった逸品ばかり。
良いものを選んで大切に使い続けることで、日々の暮らしに豊かなストーリーが生まれます。
ぜひダイニングチェアを新調するときには、これらの名作を候補に入れてみてください。
座り心地の良さや美しいデザインを楽しみながら、より豊かで心地よい毎日を過ごせるはずです。