「なぜ日本人は変われないのか？」——この疑問を抱いたことはないだろうか。
牛尾剛氏の『世界一流エンジニアの思考法』は、アメリカ・マイクロソフトで活躍する日本人エンジニアが、実際に現地で経験した「日本とアメリカの違い」、そして「変化に対応し続けるための思考法」について深く掘り下げた一冊だ。
本書はエンジニア向けの本と捉えられがちだが、実際にはどの職種の人でも活かせる「変化に強い思考法」が詰まっている。そのため、特に「日本の働き方に違和感を感じている人」や「もっと柔軟な発想を身につけたい人」にとって、有益な内容となっている。
日本人が変化に弱い理由とは？
牛尾氏は、各国の「変化に対する抵抗感」を数値化した統計を紹介している。この統計によると、日本はG7の中で「変化を最も嫌う国」とされている。
例えば、日本では以下のような特徴がある。
- 伝統や慣習を重んじる文化 → 新しい方法を試すより、従来のやり方を守ろうとする。
- 計画に固執するマインド → 一度決めた計画を守ることが重要視され、状況に応じて柔軟に変更するのが苦手。
- 手を動かす人が評価されにくい → 現場で実際に開発・作業をする人よりも、指示を出す人（マネージャーなど）が重視される。
こうした文化的な側面が、日本人が変化を受け入れにくい要因となっている。
アメリカのエンジニア文化との決定的な違い
牛尾氏は、マイクロソフトで働く中で「アメリカと日本の決定的な違い」を数多く目の当たりにした。
1. 計画は目安にすぎない
日本では「計画を守ること」が最優先されるが、アメリカでは「計画は変わるもの」という前提で進む。
「計画通りに進まないのは当たり前。状況に応じて変えるのが当然。」（本書より）
そのため、アメリカのエンジニアチームでは「新しい技術や市場の変化」にすぐ適応できる。一方、日本では「決まった納期を守ること」に意識が向きすぎて、結果として時代遅れの技術を使い続けることも珍しくない。
2. 現場のエンジニアに権限がある
アメリカでは、開発をするエンジニア自身が仕様や設計を決めることが一般的だ。
一方、日本では「エンジニアは上からの指示に従うだけ」という構図が多い。そのため、新しい技術を導入するにも上司の許可が必要で、最終的に「上司が技術を理解していないために却下される」ということがよくある。
3. 重要なことにフォーカスする文化
アメリカのエンジニア文化では、「優先順位を明確にする」ことが徹底されている。
日本では「やるべきことをすべてこなす」という姿勢が多いが、アメリカでは「最もインパクトのある仕事に集中する」ことが最優先される。
- P0（最優先） → 絶対にやる
- P1（重要） → 余裕があればやる
- P2（優先度低） → ほぼやらない
これにより、日本のように「すべてのタスクをこなそうとして生産性が下がる」という事態を防ぐことができる。
日本人が変わるために必要なこと
1. まず「変われる」と信じること
牛尾氏は、日本人が「自分たちは変われない」と思い込みすぎていることを指摘する。
アメリカに行った当初、彼自身も「英語が話せるから大丈夫」と思っていたが、現地では「単なる英語の下手な人」という扱いを受けた。それでも「やればできる」と信じて行動を続けた結果、最終的に一流のエンジニアとして認められるようになった。
日本でも、「変化するのは難しい」と思い込まず、「まずやってみる」という姿勢が大切だ。
2. 無駄なことをやめる
日本では、「続けること」や「形を守ること」が美徳とされる傾向がある。しかし、アメリカでは**「やる意味がないなら、すぐにやめる」**のが普通だ。
例えば、日本では「毎週決まった会議を開く」という習慣があるが、アメリカでは「この会議は不要」と判断されたら、その週から即廃止される。
3. 「手を動かす人」を評価する文化を作る
日本では、プログラマーや技術者が「下請け」と見なされることが多いが、アメリカでは「エンジニアは医者と同じくらいの専門職」として高く評価される。
実際に、アメリカのエンジニアの年収は2000万円以上が珍しくなく、トップクラスのエンジニアはさらに高額な報酬を得ている。こうした**「技術者が正当に評価される文化」**が、日本の変化を促す鍵になる。
まとめ：『世界一流エンジニアの思考法』が示す未来
本書は「エンジニアのための本」と思われがちだが、実際には**「変化に対応できる人材になるための本」**と言える。
- 日本人が変われない理由
- アメリカのエンジニア文化との違い
- 日本が変わるために必要なこと
これらのポイントを、牛尾氏の実体験を交えて分かりやすく解説している。
「変化に強い思考法を身につけたい人」には、ぜひ一読をおすすめしたい。
この記事が役立ったら、ぜひコメントやシェアをお願いします！
次回も役立つ情報をお届けしますので、お楽しみに！
30日間無料！いつでも解約できます！
