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【書評・要約】休養学(著者:片野秀樹)休むことについて

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本記事は「休む」ということについて考えてみます。

著者は、日本リカバリー協会の代表理事・片野秀樹さん。

リカバリーウェアを初めて開発したベネクスの役員でもあり、医学博士でもあります。

片野さんの著書『休養学』は大人気。

発行部数は10万部を突破し、Amazonレビューも300件近く寄せられています。


日本人は「疲労大国」と呼ばれるほど疲れています。

通勤電車で居眠りしている人は珍しくありません。

実際、あるデータでは日本人の約8割が疲れを感じているそうです。

また6時間未満の睡眠しか取れない人も4割ほど。

そんな状況だからこそ、休むことの本当の意味を学ぶ必要があります。

休む=寝る、だけじゃない

片野さんは、まず「休む」イコール「寝る」だけではないと強調します。

もちろん睡眠は大事。

でも「1ヶ月ずっと寝る」ような極端なことをすると、筋力が半減して逆に疲れやすくなってしまうのです。

無理に長時間眠り続けても、体力は落ちる一方。

だからこそ、睡眠プラスそれ以外の休養も必要になるといいます。

疲労と疲労感は別物

「疲れがたまる」「疲れをとる」など、私たちはよく言います。

しかし日本疲労学会の定義では、「疲労=活動能力が低下している状態」とされています。

そこに伴う不快感が疲労感。

本来、動物は疲労感を覚えたら動かずに回復を待ちます。

でも人間は、甘いもので誤魔化すなど「マスキング」をしながら活動を続けることが多い。

これが問題だと片野さんは警鐘を鳴らします。

疲労を放置したまま無理をしていると、やがて体のバランスが崩れ、病気のリスクも高まるからです。

休養にもさまざまな種類がある

一般的には「健康づくりの3要素=運動・栄養・休養」といわれます。

でも私たちは学校で運動や栄養は習っても、休養はほとんど学びません。

そのため「休む=寝る」と思い込みがちです。

しかし、片野さんの提唱する『休養学』では、休養を7タイプに分けています。

1つ目は「急速タイプ」。

これは文字どおり、睡眠や安静など体を休める方法。

多くの人がイメージする休養です。

しかし、これだけではありません。

2つ目に「運動タイプ」。

激しい運動ではなく、軽い運動やストレッチで血流を促す方法です。

運動すると疲れそうに思えますが、実は血液を循環させることで老廃物を回収し、疲労回復を助けるのです。

3つ目に「栄養タイプ」。

「たくさん食べて元気を出そう」は逆効果の場合もあります。

むしろ胃腸を休める食べ方が、体をリラックスさせてくれます。

ときには腹八分目で、刺激物や脂っこいものを控えることが大切です。

ここまでが「生理的休養」の3つ。

次は「心理的休養」。

4つ目は「親しい人や動物、自然と触れ合う=進行タイプ」。

家族や友人との何気ない会話、ペットとのふれあい、山や公園などで自然に癒されることも、心の休養になります。

5つ目は「娯楽タイプ」。

映画、音楽、ゲームなど、楽しいことをしてストレスから離れる方法。

ただし、夜通しゲームをするなど、やりすぎは禁物です。

「適度に楽しむ」ことが休養の目的です。

6つ目が「造形・想像タイプ」。

手芸や料理など何かを作る行為や、瞑想やマインドフルネスも含まれます。

没頭することでストレスから切り離されるのが大きなポイント。

想像力を働かせる時間も、心を休ませる方法です。

そして最後の「社会的休養」。

7つ目は「転換タイプ」。

周囲の環境を変えることで休む方法です。

旅行が代表例ですが、大掛かりでなくてもOK。

部屋の模様替えやデスク周りの整理、着替えをするなど、外の刺激を変えるだけでも気分転換になります。

複数の休養を同時に取り入れる

これら7タイプを組み合わせると、相乗効果が得られます。

たとえば家でスープを作る場合。

「栄養タイプ」で胃腸をいたわり、さらに調理が好きなら「娯楽タイプ」や「造形タイプ」にもなる。

誰かと一緒に作れば「進行タイプ」。

公園まで運んで飲めば、散歩で「運動タイプ+転換タイプ+自然との進行」まで同時に満たせます。

こうして一度に複数の休養を取ると、とても効率的。

オンよりもオフを先に考える「オフファースト」の発想

日本人の多くは朝から既に疲れています。

原因の一つは「お疲れ様文化」。

疲れていることが当たり前、むしろ美徳のようになっている。

でも、活動能力が下がっている状態で仕事をしてもパフォーマンスを発揮できません。

スポーツの世界で知られる「フィットネス疲労理論」は、「体力-疲労=発揮できるパフォーマンス」と示します。

つまり、疲労がゼロに近いほど本来の力を発揮できる。

にもかかわらず、多くの人は疲れが残った状態で働いているのです。

そこで大事なのが「オフファースト」という考え方。

まず休みをしっかり計画し、そこから逆算して仕事に臨むのです。

とくに「勤務間インターバル」という概念が欧州にはあります。

仕事が終わってから次の仕事が始まるまで、最低でも11時間空けなさいという法律です。

日本では義務化されていませんが、この時間をどう過ごすかで疲労回復は大きく左右されます。

オフをマネジメントする重要性

多くの日本企業は、働き方改革で残業を減らしています。

しかし、家に持ち帰って仕事をする、スマホで仕事のメールをチェックするなど、「見えない残業」が増えている現実があります。

せっかく早く帰っても、オフの時間を仕事に奪われていれば休めません。

疲労を回復できないまま翌日を迎えれば、生産性も低下します。

だからこそ、オフの時間こそマネジメントが必要。

自宅に着いたらなるべく仕事の連絡を断ち、一気に休む。

SNSやメールチェックもメリハリをつけて、休養を最優先にしましょう。

まとめ

  • 休む=寝る、だけではない。
  • 疲労と疲労感は別。マスキングに注意。
  • 7タイプの休養を組み合わせ、積極的に休む。
  • オフを管理し、疲れを翌日に持ち越さない。

お疲れ様という習慣は、一見やさしそうに聞こえます。

しかし、それが当たり前になると、自分も他人も「疲れたまま働くのが当然」になってしまう。

大事なのは、疲れない体を手に入れること。

そして元気に働き、余裕をもって人生を楽しむことです。

片野さんいわく、「休みは攻めるもの」。

主体的に、計画的に休養を取ることで、心も体も回復します。

翌朝にパッと目が覚めて、やる気と活力がみなぎる状態。

そんな日々を実現するために、ぜひ「オフファースト」の発想を取り入れてみてください。

休むことをネガティブに捉えず、むしろ積極的に取りに行く。

そうすることで、あなたのパフォーマンスはきっと上がります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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